親鸞会の発足の歴史

親鸞会は1958年(昭和33年)の9月に発足した団体です。親鸞会は実に60年以上の歴史があります。そんな親鸞会は、近年新しい取り組みを行っており注目を集めています。そんな親鸞会の変化は発足の背景からこれまでの歴史を見ていくと、変化の理由が見えてきます。

そして、その変化は時代の変化にただ対応したものだけではなく、親鸞の教えを忠実に守ったからこその変容だということも分かるでしょう。それでは、親鸞会の歴史を見ていきながら、その変化をたどっていきましょう。まずは親鸞の簡単な経歴と、親鸞会の誕生から説明していきます。

そもそも親鸞とは何者か

親鸞は鎌倉時代に活躍した宗教家です。浄土真宗という仏教の流派の開祖として知られます。親鸞が生きた時代は末法思想が流行した時代です。末法は釈迦の教えが失われて混乱すると予言された時代で、鎌倉時代も保元の乱や平治の乱が起こり、疫病も流行ったことで終末論が語られました。そんな時代背景に育った彼は、比叡山延暦寺などで学んだあと法然という師に出会います。

ここで念仏という新しい考え方に触れ、以降は自分の宗教家としての仕事は法然の思想を引き継ぎ、その考え方をさらに深めることだと決心します。南無阿弥陀仏と唱える救済論や悪人こそが救われると説いた悪人正機説は、代表的な思想です。当時、宗教家は肉食と妻帯がタブーでしたが、あえてその禁忌を犯したことでも知られます。

このように親鸞は新しい考え方や型破りな生活で知られる人物です。そう聞くと仏教の歴史のなかで異端者と思われるかもしれません。実際はその反対で、比叡山延暦寺で学んだことからも分かる通り、彼は当時最高のエリートです。しかし、当時の宗教界は末法思想のなかにあり乱れていました。救済に関しても、大衆には開かれてはいません。そうしたいらだちが親鸞の思想の背景にはあります。

親鸞会は親鸞の「本当の」姿を伝えたかった

親鸞会が設立した動機も実は親鸞のこうしたいらだちと共通した点があります。親鸞会は「親鸞の本当の姿を伝えたい」という目的で設立した団体です。本当の姿とは何でしょうか。浄土真宗は日本で最大の宗派になっていますが、現代の日本人にとって宗教に馴染みがない人は多いかもしれません。冠婚葬祭くらいでしか関わりのないものです。

これは明治時代の廃仏毀釈運動に代表される、宗教への排撃が背景にあります。明治時代以降、浄土真宗は急速に人々の関心が薄れ、お仏壇がある家にも浄土真宗について無知の人がほとんどです。そんな状況ではまずいと思ったのが、現在も会長を務める高森顕徹氏になります。

親鸞が生きた時代も末法思想により釈迦の教えが失われると恐れられました。宗教家たちも腐敗を起こしており、もう一度仏教を復興しようとしたのが親鸞です。こうしてみると共通点があることが分かります。高森顕徹氏は会の目的を親鸞聖人の布教というただ一点に絞っていることも特徴です。これまで、各地で法話や座談会を開き、その思想や考え方を広めてきました。「教行信証」や「三帖和讃」といった原典をしっかりと読み込む講座も行っており、まさに原点回帰です。

親鸞会が変わってきているその理由

宗教は長い時代をかけてその思想が深められることもありますが、教えが失われたりねじ曲がったりすることもあります。いい例がキリスト教です。キリスト教が根付くと教会の力が強くなり、信者たちはお布施を求められるようになりました。

キリストや聖書をないがしろにするそんな状況に怒ったのが、ルターやカルバンといった宗教家です。宗教改革と言われていますが、その内容はリバイバルと言ったほうが正しいかもしれません。親鸞や親鸞会の活動も動機には同じものがあるでしょう。本当に大切なものは何なのか、その都度見直さないと見失います。

そんな親鸞会も活動の幅はさらに広がっており、新しい試みも行っています。代表的なのは漫画を通した布教活動です。公式ホームページには迷海というキャラクターが登場して、親鸞や釈迦の教えをわかりやすく伝える漫画コーナーがあります。漫画という新しいメディアに挑戦しているのは、型破りな親鸞の性格を伝えるのに適しているかもしれません。

親鸞は当時閉鎖的だった宗教を一気に大衆に開放した人物だからです。何よりも親鸞は大衆を救済することを考えており、肉食妻帯からも分かる通り庶民の生活と近い人間でした。親鸞会の取り組みはそうした点からも評価されています。

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まとめ

親鸞の生涯をたどりながら、親鸞会の歴史、設立した理念や現在の活動を振り返ってきました。親鸞会という組織が一貫して親鸞の思想を伝える活動をしてきたことが分かったでしょう。それは知識を教えるだけでなく、生き方そのものを教えることでもあります。

近年は不況や病気、災害などが頻発しており先の見えない時代です。そんな末法のような時代に親鸞の思想は今も輝いて見えます。むしろ現在こそが、彼の教えが必要とされている時代なのかもしれません。そのとき学ぶことに役立つ講座や座談会を開いている親鸞会は、非常に貴重な学びの場だと言えます。